シャドーデータについて
従業員が便宜上、会社の機密データを、個人向けの安全性の低いクラウドベースのスプレッドシートにコピーする場合を想像してみてください。また、テストデータとして使用するために顧客データを本番環境から開発環境にコピーしたものの、それらのデータが忘れられ、消去されなかったり、安全性の低い場所にバックアップされたりする場合も考えられます。
これらのシナリオでは、データは元の場所ではより安全であり、コピーされること(少なくともコピーされて忘れられること)は意図されていませんでした。このような行為は無害に見えるかもしれませんが、重大なセキュリティリスクをもたらし、シャドーデータと呼ばれるものを生み出します。
このシャドーデータ(組織による安全な管理下にないデータ)の概念は、サイバーセキュリティに関する重大な懸念事項です。この記事では、シャドーデータの概要、それがもたらすリスク、さらにシャドーデータを制御するために組織ができることについて詳しく説明します。
シャドーデータとは?
簡単に言えば、シャドーデータとは、一元化された安全なデータ管理フレームワークの外で作成、保存、または共有されるデータのことです。
シャドーデータは、従業員が利便性のために情報を転送したことが原因で、個人のデバイスに表示されることがあります。また、適切なセキュリティ対策が施されていないAmazon S3などのプラットフォーム上のクラウドストレージや、データベース内の見落とされているデータテーブルに保存されるケースもあります。
シャドーデータの発生源
シャドーデータは、不注意で生じることもあれば、意図的に生み出される場合もあります。
- 使用停止になったレガシーアプリケーション:過去の顧客データを新しいアプリケーションに移行した後、そのデータは元の保存場所で休眠状態になることが多く、削除するかどうかの決定が下されるまでそのまま残ります。休眠状態のデータは非常に長期間存続する可能性があり、その場合、データはますます見えにくくなり、悪用されやすくなります。
- ビジネスインテリジェンスと分析:データサイエンティストやビジネスアナリストは、本番環境のデータをコピーし、傾向や新たな収益機会を探します。また、バックアップやデータウェアハウスに保存されている過去のデータをテストすることで、新たなビジネスコンセプトを検証し、ターゲットとなるチャンスを開拓することもあります。こうしたシャドーデータは、分析が終わった後も削除されない、または適切に保護されない場合があるため、誤用や漏洩のリスクにさらされることがあります。
- SaaSへのデータの移行:従業員は、IT部門からの正式な承認を得ずにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)ソリューションを導入することがよくあります。その結果、アプリケーションの展開が分散され、監視が行き届かなくなります。
- 人的エラー:開発環境に顧客データが永続的に残ることは、データが忘れられる、または適切にバックアップされていないことが原因でシャドーデータが発生する典型的な人的エラーの例です。また、従業員が機密性の高い業務文書やデータを安全でない個人のデバイスに保存する場合もこれに含まれます。
シャドーデータはシャドーITによく似ている
シャドーデータとシャドーITは、どちらも組織内での不正なテクノロジーの使用に端を発するため、情報セキュリティの分野では密接に関連した概念です。シャドーITとは、従業員が業務関連のタスクを実行するために、未承認のソフトウェア、デバイス、またはサービスを使用することを指します。多くの場合、これにより、組織のIT部門が承認または監視していない方法で保存または処理されるデータが生じる可能性があります。シャドーITとシャドーデータは、このように深く結び付いています。ただし、シャドーデータは、未承認のハードウェア、ソフトウェア、またはクラウドサービスを使用しなくても生じる可能性があります。
シャドーITとシャドーデータの関係は、現代のIT環境の複雑さを浮き彫りにしています。今日のテクノロジーはアクセスしやすく、そのことがセキュリティを脅かし、データ漏洩やコンプライアンス違反のリスクを悪化させる可能性があります。
詳細
DSPM(データセキュリティポスチャ管理)ソリューションは、統合クラウドソリューションの重要な要素です。シャドーデータの拡散を防ぎ、意図しないデータ漏洩のリスクを低減するのに役立ちます。自社に適したDSPMソリューションを選択する際に考慮すべき重要な問いをご覧ください。
シャドーデータのリスク
シャドーデータは組織に重大なリスクをもたらす可能性があります。これらのリスクを管理することは、機密情報を保護し、組織の整合性を維持するために不可欠です。
データ侵害
通常、シャドーデータは検知されずに潜伏し、適切に保護されていません。そのため、サイバー脅威の格好の標的となります。そして、たとえシャドーデータであっても、データへの不正アクセスはデータ侵害につながる可能性があります。その結果、顧客の機密情報、企業秘密、あるいは社内コミュニケーションが漏洩する可能性があります。
コンプライアンスと法的な影響
認可されていない環境にデータを保存すると、GDPR、HIPAA、その他のデータ保護法などの規制に違反する可能性があります。これらの法律に違反した場合、多額の罰金や法的紛争、企業の評判への深刻なダメージにつながる可能性があります。
運用上のリスク
シャドーデータは管理されていないデータであるため、データ分析が不正確になり、ビジネス上の意思決定に誤りが生じる可能性があります。さらに、追跡されていないデータや管理されていないデータが急増すると、IT管理の複雑さとコストが増大し、リソースの逼迫や運用効率の低下を招きます。
シャドーデータの管理
シャドーデータを効果的に管理することは、リスクを最小限に抑え、組織全体のデータの整合性を確保するうえで重要です。以下の戦略を階層的に組み合わせて、データ管理に構造的にアプローチする必要があります。
検知手法
シャドーデータ管理の第一歩は、それを特定することです。ランタイム機能により、チームはどのデータがどこに移動しているかをリアルタイムで正確に把握できます。
さらに、監査ツールと監視ツールを活用することで、組織全体で使用されているすべてのデータの検出を自動化できます。このプロセスには、構造化データと非構造化データの両方を分類して、データの機密性や漏洩した場合の組織への潜在的な影響を判断することも含める必要があります。シャドーデータを特定したら、その管理とガバナンスを開始できます。
防御戦略
シャドーデータの生成と増殖を防ぐには、まず組織内でのデータの使い方を規定するセキュリティポリシーを確立します。その後、ランタイム機能を備えたツールを活用してデータフローを継続的に監視し、ポリシーを適用できます。動的ポリシーの作成と適用を支援するツールを使用することで、新たな脅威や変化するデータアクセスパターンに迅速に対応できるようになります。
さらに、異常検知システムを利用して、データポリシーの違反や侵害を示す可能性のある不規則なパターンや振る舞いをプロアクティブに特定できます。
緩和アプローチ
組織のデータガバナンスフレームワークに、シャドーデータのリスクに対処してこれを軽減するための考慮事項を組み込みます。これには、DLP(データ損失防止)ツールの検討やクラウドデータセキュリティ対策の強化が含まれます。アプリケーション、データストア、エンドポイント間のデータの全体的な動きを把握することに重点を置きます。この視点を念頭に置くことで、自動化されたプロアクティブな予防策を実装し、安全なデータ運用を維持できます。
まとめ
シャドーデータを効果的に管理することは、組織のデータインフラストラクチャのセキュリティと整合性を維持するために不可欠です。この記事では、シャドーデータの発生源とリスク、シャドーデータを管理するためのベストプラクティスについて説明しました。これらの概念を常に意識することで、サイバーセキュリティ対策を強化し、さまざまな規制基準へのコンプライアンスを確保できます。クラウド環境でデータを保護するための重要なコンポーネントの1つとして、DSPMがあります。DSPMは、動的なクラウド環境全体でデータを分類、分析、保護するための包括的なフレームワークを提供します。CrowdStrike Falcon® Cloud Securityは、DSPMにランタイム機能を導入することで、新たなコンテキストのレイヤーをもたらします。これにより、リスクの優先順位付けが容易になり、アラート疲れが軽減します。その結果、リアルタイムでの脅威への対応が可能になり、環境全体にわたってデータを保護できます。