クラウドストライク2026年版グローバル脅威レポートエグゼクティブサマリー:AI時代に必読の脅威インテリジェンスレポート
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AIセキュリティポスチャ管理 (AI-SPM )とは?

AIは計り知れない可能性を秘めており、現在のビジネス環境を大きく変えつつあります。組織の64%が、AIモデルによって生産性が向上し、顧客との関係が強化されると見込んでおり、AIは企業がこれまで以上に俊敏かつ迅速に事業を展開することを可能にしています。1ただし、AIは生産性を向上させる一方で、組織の重要な業務に組み込まれるため、進化する脅威から保護するには強力なセキュリティポスチャが不可欠です。そこで登場するのがAI-SPMです。

AI-SPMは、AIサービスとデータを保護するための戦略的アプローチであり、AIシステムの攻撃対象領域の拡大に対応するため、セキュリティポスチャを継続的にモニタリングして評価し、強化します。さらに、コンテナ内のAIシステムから、モデルがトレーニングされて展開されるランタイムインフラストラクチャに至るまで、AIモデルのライフサイクル全体を通して脆弱性を特定して修復します。AI-SPMは、これらの脆弱性を管理し、コンプライアンスを確保し、進化する脅威から保護することで、組織がAIを活用した業務の整合性を保ちながら、展開の安全性、レジリエンス、そして規制基準への準拠を維持するのに役立ちます。

DevSecOpsにおけるAI-SPM

AIがSDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)に広く統合される中で、AIは新たな機会とともに課題ももたらしています。意思決定の自動化や機能強化を実現するAIモデルは、現代のアプリケーションにおいて欠かせない要素となっています。その一方で、SDLCにAIを統合することで、新たなセキュリティリスクが浮上しています。

AI-SPMをDevSecOpsの実践に統合することで、開発ライフサイクル全体にわたってAIシステムのセキュリティを確保できます。このアプローチは、従来のセキュリティ対策を機械学習 (ML) モデルにも適用するもので、一般にMLSecOpsとして知られています。MLSecOpsでは、コードやデータの取り扱いから、モデルの展開に至るまで、すべてが対象となります。DevSecOpsにAI-SPMを組み込むことにより、開発から運用に至るまで、組織のAIイニシアチブにおけるセキュリティを一貫して強化できます。

詳細

組織が生成AIテクノロジーを使用する際には、その主なリスクを十分に考慮することが不可欠です。チームで生成AIを導入する際に考慮すべき5つの重要なポイントについてご覧ください。

ブログ:5 Questions to Use GenAI Responsibly(責任ある生成AIを使用するための5つの質問)

AIがもたらすリスクとは?

AI-SPMは、AIシステムがもたらすリスクを管理し、それらに対する保護を提供することで、組織を支援します。

プライバシーとデータセキュリティのリスク

AIシステムは、学習して正確な予測や意思決定を行うために、大規模なデータセットを必要とするため、膨大なデータを処理します。このため、AIシステムはサイバー犯罪者にとって格好の標的となります。AIシステムでデータが侵害されると、重大なプライバシー違反や経済的損失、さらには組織の評判への悪影響を引き起こす可能性があります。AIシステムは日常業務のさまざまな側面に統合されているため、データを適切に保護することは、不正アクセスを防ぎ、個人および企業のプライバシーを守るために非常に重要です。

詐欺とアイデンティティのリスク

AIテクノロジーを使用して、信ぴょう性のある偽のアイデンティティや、ディープフェイク(現実的でありながら捏造された画像や動画)などの詐欺的なコンテンツが作成される可能性があります。これらのテクノロジーは、虚偽の情報を本物のように提示し、個人や組織を欺くために利用されることがあります。その結果、金融詐欺やアイデンティティ盗用といった深刻なリスクを引き起こす可能性があります。

データポイズニングと偽情報

AIシステムの精度と信頼性を確保するには、AIモデルのトレーニングに使用するデータを高品質な状態に維持することが重要です。悪意のあるアクターがトレーニングセットを改ざんする(これをデータポイズニングと呼びます)ことで、バイアスがかかったデータや悪意のあるデータが取り込まれ、モデルの出力が歪められる可能性があります。このような改ざんは、AIのパフォーマンスを損ない、誤った結果や有害な結果を生み出す原因となります。また、改ざんされたデータに基づく誤った情報が拡散されることで、AIシステムの信頼性が損なわれ、不完全なインサイトに基づいた誤った決定や行動が引き起こされる可能性もあります。

AIを利用したサイバー攻撃

AIを活用して攻撃手法を自動化および最適化することで、サイバー攻撃が一層巧妙化する可能性があります。たとえば、AIは脆弱性をより迅速に特定し、セキュリティ対策に適応するカスタマイズされた攻撃を開発することが可能です。AIによる高度なサイバー攻撃は、従来の防御を回避し、侵害のスピードを加速させ、その影響範囲を広げるため、検知や緩和が一層難しくなります。このような高度な脅威は、組織のセキュリティとレジリエンスに深刻なリスクをもたらします。

AI-SPMの主要なコンポーネント

AIインベントリ管理

AI-SPMは、組織内のAIサービス、AIリソース、およびそのコンポーネントをすべて追跡し、カタログ化します。インベントリを効果的に管理しなければ、組織はAIアセットの可視性を失い、シャドーAIモデルが無防備で管理されない状態のまま放置される可能性があります。組織全体で使用されている各AIモデルのインベントリを特定し、管理することにより、AI-SPMは徹底的な監視を行い、セキュリティ基準へのコンプライアンスを確保します。

ランタイム検知

AI-SPMはAIモデルをリアルタイムで継続的に監視し、誤用、負荷過多、不正アクセス試行などの異常なアクティビティや潜在的に有害な動作を検知します。このモデルのパフォーマンスと振る舞いの追跡により、セキュリティ脅威や運用上の問題を早期に検知することができ、AIシステムのセキュリティと信頼性を確保できます。

攻撃パス分析

AI-SPMは、AIシステム内で攻撃者が悪用する可能性のあるルートをマッピングします。インフラストラクチャ全体にわたり、弱点や潜在的な脅威を特定することで、AI-SPMは攻撃が発生する可能性のある場所を把握する支援を行います。この分析結果を基に、攻撃の防止および緩和戦略を策定することで、全体的な防御を強化し、レジリエンスを向上させることができます。

組み込みの設定

AI-SPMは、セキュリティ設定およびポリシーをAIシステムとそのインフラストラクチャに直接統合します。最初からセキュリティ設定およびポリシーを組み込むことで、展開時に自動的にベストプラクティスを適用し、設定ミスを防止します。これにより、AIモデルの安全性とセキュリティをより強固に維持することが可能となります。

AI-SPMを実装する利点

セキュリティの強化

AI-SPMはAIシステムのセキュリティを確保するために、継続的にその振る舞いと環境をモニタリングし、異常、不正アクセス、潜在的な侵害をリアルタイムで検知します。詳細な可視性を提供し、設定ミスを検知するAI-SPMにより、業務の中断やブランドの評判低下につながりかねない、大きな損害を引き起こす侵害のリスクが最小限に抑えられます。

企業コンプライアンスの支援

AI-SPMは、AIの展開がGDPRなどの厳格なセキュリティおよびプライバシー規制に準拠することを支援し、罰金や法的リスクの軽減に寄与するとともに、関係者や顧客に対して高い信頼を提供します。さらに、AI-SPMは、規制遵守に必要不可欠なAI関連リスクの適切な管理を実証し、デューデリジェンスの履行に役立ちます。

運用効率の向上

AI-SPMは、組織が潜在的な脅威を効率的かつプロアクティブに特定し、脅威が引き起こす可能性のある損害を未然に防ぐ支援をします。また、リスクの検知と修復を自動化することで、AIセキュリティ管理を効率化し、セキュリティチームが高優先度のタスクに注力できるようにするとともに、セキュリティ運用の総コストを削減します。

イノベーションの加速

AI-SPMによってAIインフラストラクチャのセキュリティが確保されることで、開発から展開に至るまでの全ステップでセキュリティが統合されているという安心感を持ちながら、AIの導入とイノベーションを加速することができます。これにより、セキュリティに関する懸念が最小限に抑えられ、チームは新しいアイデアの創出や革新的なテクノロジーの開発に集中できます。その結果、進展のスピードが加速し、競争力が強化されることになります。

競争優位性を得る

AI-SPMを導入することで、組織は安全なAI運用の先駆者として広く認識されるようになります。このプロアクティブなアプローチは、機密データの保護と高度なセキュリティ基準の維持に対する揺るぎのないコミットメントを示すため、顧客やパートナーとの信頼関係の構築に役立ちます。堅牢なAI-SPM戦略を確立することで、競争の激しい市場で他とは一線を画した競争上の優位性を獲得し、自信を持って新たなチャンスを活かせるようになります。

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Schunk Group

このユーザー事例を読んで、国際的なハイテク企業であるSchunk Groupがクラウドネイティブのクラウドストライクセキュリティを使用して、そのITインフラストラクチャをどのように保護しているかをご覧ください。

ユーザー事例を読む

AI-SPMとの対比

DSPM(データセキュリティポスチャ管理)、CSPM(クラウドセキュリティポスチャ管理)、ASPM(アプリケーションセキュリティポスチャ管理)を検討し、それぞれの役割を理解することで、AI-SPMがどのように独自の方法でサイバーセキュリティフレームワークを強化し、完成させるのかが見えてきます。

  • DSPMは、データの保存場所、セキュリティ状態、アクセス権を持つユーザーを監視する役割を果たします。これにより、DSPMは組織がクラウド全体でデータを管理し、リスクを監視し、セキュリティポリシーを適用し、企業コンプライアンスを確保するために重要な役割を果たします。
  • CSPMは、クラウド環境での設定ミスと潜在的なコンプライアンス違反に関する可視性を提供し、プラットフォームおよびインフラストラクチャレベルでセキュリティに対処します。
  • ASPMは、組織のカスタムアプリケーションのセキュリティスタンスを評価、管理、強化する包括的なプロセスです。アプリケーションがセキュリティ標準に準拠し、サイバー脅威に抵抗し、コンプライアンスを維持できるようにします。

AI-SPMは、AIモデルおよびそのアセットが直面する固有の脅威に対処するために特化したセキュリティ機能を提供します。既存のセキュリティソリューションによる保護も貴重ですが、多くの場合、これらのソリューションにはAI環境を保護するために必要な包括的なアプローチが欠けています。AI-SPMは、この重要なギャップを埋めることで、AI特有のリスクに対する可視性を提供し、トレーニングデータやクラウドベースのAIモデルを保護し、AIライフサイクル全体にわたる脆弱性に対応することができます。

AI-SPMの真の価値は、CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)に統合されたときに発揮されます。AI-SPM単独でもAIモデルが直面する固有のセキュリティ課題に対処できますが、CNAPPとの統合により、クラウドネイティブ環境全体をカバーする統一されたセキュリティフレームワークが実現します。これにより、AIアセットはもちろん、クラウドインフラストラクチャ、アプリケーション、データも一緒に保護され、包括的でエンドツーエンドのセキュリティが提供されます。

クラウドストライクのアプローチ

AIネイティブのCrowdStrike Falcon®プラットフォームをAI-SPMで強化することで、シャドーAIとして隠れている可能性のあるモデルも含め、環境内のすべてのAIモデルに対する包括的な可視性が提供されます。

CrowdStrike Falcon®プラットフォームのAI-SPM機能は、単なる可視性を提供するだけではありません。このソリューションは高度なエージェントレス技術を活用し、OpenAIやAmazon Bedrockなどの主要なAIサービスでの設定ミスを検知します。これにより、AIインフラストラクチャが安全で最適に設定されていることが保証されます。AI-SPMは、AIアセットを保護するだけでなく、厳格なセキュリティおよびプライバシー規制へのコンプライアンス維持にも役立ち、運用が安全でコンプライアンスを守っているという安心感を提供します。

クラウドストライクのAIセキュリティへの取り組みは、AIライフサイクル全体にわたります。開発から展開まで、特にAI開発環境の保護においてはシフトレフトアプローチを採用しています。コンテナイメージを展開前にスキャンすることで、AI-SPMはAIモデルを特定し、潜在的なポイズニング攻撃を検知します。これにより、AI開発は最初から安全で堅実な基盤の上に構築されることが確保されます。

NVIDIA NIMコンテナ内でAIモデルを実行する顧客に対して、FalconプラットフォームのAI-SPMによるランタイム保護は、AIモデルの振る舞いをリアルタイムで監視し、新たに浮上する脅威を迅速に検知して対応できるよう支援します。このプロアクティブな防御は、複雑化する脅威環境の中でAIアセットのセキュリティとレジリエンスを確保するために非常に重要です。

CrowdStrike Falcon® Cloud Securityでは、AI-SPMの機能を利用できるだけでなく、AIのあらゆる側面を保護する完全な統合ソリューションを使用して、AIイニシアチブをすべての段階で確実に保護できます。

1 Forbes、「How Businesses Are Using Artificial Intelligence In 2024 (2024年におけるビジネスでの人工知能の利用方法)」

ダナ・ラヴェ(Dana Raveh)は、クラウドストライクのデータおよびクラウドセキュリティを担当する、プロダクトマーケティング・ディレクターです。クラウドストライクに入社する前は、Seemplicity SecurityやFlow Security(クラウドストライクにより買収)などのサイバーセキュリティ新興企業でマーケティングチームを率い、マーケティング担当副社長を務めました。また、Checkmarx社など数多くのグローバル企業で製品管理および製品マーケティングを担当。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで認知神経科学の博士号を取得しています。