アプリケーションセキュリティとは?
アプリケーションセキュリティとは、アプリケーションレベルでのデータやコードの窃盗や改ざんを防ぐために設計された一連の対策です。これには、アプリケーションの開発フェーズおよび設計フェーズにおけるセキュリティと、展開後にアプリケーションを保護するシステムとアプローチが含まれます。優れたアプリケーションセキュリティ戦略は、従業員、ベンダー、顧客など、社内外の関係者が使用するアプリケーション全体を確実に保護します。
クラウドネイティブ環境向けのアプリケーションセキュリティ
クラウドネイティブ環境において、アプリケーションを保護するには、開発プロセス全体にわたってセキュリティ対策を組み込む必要があります。このアプローチには開発初期段階へのセキュリティ対策の移行が伴い、そこでIaC(コードとしてのインフラストラクチャ )とコンテナセキュリティが重要な役割を果たします。脆弱性(コンテナイメージの脆弱性や、設定ミスのあるクラウドリソースの脆弱性など)の特定と緩和には、セキュリティスキャンの自動化に加え、クラウドネイティブアーキテクチャに特化したツールの使用が不可欠です。このプロアクティブなアプローチにより、継続的に統合、展開される動的な環境でアプリケーションを移行しても、確実にセキュリティが維持されます。
ただし、クラウドネイティブアプリケーションの保護は、これで終わりではありません。クラウドネイティブアプリケーションの動的な性質により、展開中および展開後にセキュリティを組み込むことが不可欠です。予防的なセキュリティ対策をリアルタイムのインサイトと組み合わせることによって、組織はアプリケーションとアプリケーション内のデータを保護する万全の体制を整えることができます。
アプリケーションセキュリティの重要性
今日のアプリケーションは、複数のネットワークにまたがって接続されているだけではありません。多くの場合、クラウドにも接続されているため、クラウドの脅威と脆弱性にさらされています。今日の組織は、ネットワークレベルだけでなくアプリケーションレベルで追加のセキュリティを採用しています。これは、アプリケーションセキュリティを利用して脆弱性を可視化し、サイバー攻撃を防止できるからです。
セキュリティコントロールは、あらゆる企業のアプリケーションセキュリティ戦略の優れたベースラインです。このコントロールによって、内部プロセスの中断を最小限に抑え、侵害が発生した場合にはチームが迅速に対応し、アプリケーションソフトウェアのセキュリティを向上させることができます。また、特定のアプリケーションに合わせて調整できるため、企業は必要に応じて各アプリケーションに対して標準を実装できます。セキュリティリスクの軽減は、アプリケーションセキュリティコントロールの最大の利点です。
アプリケーションセキュリティコントロールとは?
アプリケーションセキュリティコントロールとは、コードレベルでアプリケーションのセキュリティを向上させ、リスクを軽減する手法です。この制御は、外部の脅威によって行われた入力など、予期しない入力に対応するように設計されています。アプリケーションセキュリティコントロールにより、アプリケーションを構築するプログラマーは予期しない入力への対応について、より自由に決定を下すことができます。アプリケーションセキュリティは、企業が脅威を食い止める際に、リスクを軽減するために設計されたツールと手法で支援します。
アプリケーションセキュリティコントロールは、セキュリティポリシーの境界をアプリケーションコードに適用するためのルールであるセキュリティ標準を実装するために、開発者に割り当てられるステップです。企業が従わなければならない主要な基準の1つとして、米国立標準技術研究所の特別出版物 (NIST SP) があります。これは、セキュリティコントロールの選択に関するガイドラインを提供しています。
それぞれのセキュリティアプローチ用に設計されたアプリケーションセキュリティコントロールの種類は、以下のとおりです。
- 認証:ユーザーのアイデンティティが有効かどうかを確認します。アイデンティティベースのアクセスを適用するために必要です。
- 暗号化:不正アクセスを防ぐために情報またはデータをコードに変換します。個々のファイルを含めることも、プロジェクト全体を含めることもできます。
- ログ記録:ユーザーアクティビティを調べて、疑わしいアクティビティや侵害のインシデントを監査します。
- 妥当性チェック:入力および処理されたデータが特定の基準を満たしていることを確認します。
- アクセス制御:IPアドレスまたは承認済みユーザーに基づいて、アプリケーションへのアクセスを制限します。
現代のアプリケーションセキュリティの課題
現代のアプリケーションセキュリティに伴う課題には、一般的なものとして、継承した脆弱性や、セキュリティチーム用に有能な専門家を見つける必要性などがあります。その他の課題としては、セキュリティをソフトウェア開発の問題と見なし、アプリケーションセキュリティのライフサイクルの全期間を通じてセキュリティを確保することなどがあります。アプリケーションセキュリティプロセスを開始する前に、これらの課題を認識することが重要です。
現代のアプリケーションセキュリティの一般的な課題は、安全なアプリケーションに関心を持つすべての企業に必ず生じます。これには、以下が含まれます。
- ライブラリの脆弱性:開発者はコードライブラリに依存しています。コードライブラリは、あらかじめ書かれたコードのコレクションです。開発者はゼロからコードを書く必要がなく、このコードを使用して一般的なタスクを実行できます。独自のライブラリとオープンソースライブラリの両方に脆弱性が含まれている可能性があります。
- サードパーティの脆弱性:サードパーティのコンポーネントには、ライブラリ、フレームワーク、プラグイン、API、およびアプリケーション内での機能の追加または開発の簡素化に使用されるその他の外部ソフトウェアが含まれます。これらのコンポーネントによって脆弱性が生じることもあります。
- DevSecOpsアプローチの採用:DevSecOpsアプローチは、ITプロセスのすべてのフェーズにセキュリティ対策を組み込むプロセスであり、シフトレフトとも呼ばれます。
- 資質を備えた専門家の起用:セキュリティチームはアプリケーションセキュリティにおいて重要な役割を果たします。専門家を見つけるか、すでに配置されているセキュリティチームをトレーニングする必要があります。
一元管理ツールの欠如:開発チームをサポートする一元化されたツールがなければ、企業はサイロ化された各アプリケーションチームに対応する必要があるために余分なオーバーヘッドを抱えたり、アプリケーションのレポートに関するインサイトが不足したりします。
Expert Tip
OWASPトップ10とは、Webアプリケーションに対する最も重大なセキュリティリスクのランキングであり、最後に更新されたのは2021年です。このランキングは、広範囲に及ぶデータ分析およびコミュニティのフィードバックを通じて作成されており、組織によるアプリケーションセキュリティの改善をサポートすることを目的としています。時間の経過とともに、方法論とカテゴリーの構造が進化して最新のセキュリティ上の課題を適切に反映するようになっています。OWASPトップ10によると、アプリケーションに対する最も重大なセキュリティリスクは以下のとおりです。
- アクセス制御の不備:認証されたユーザーに対する不適切な規制の実施が、不正アクセスの原因となる
- 暗号化の失敗:弱い暗号や暗号の設定ミスが、機密データ流出の原因となる
- インジェクション:入力処理に欠陥があると、攻撃者が悪意のあるコードを挿入できる
- 安全が確認されない不安な設計:基本設計の欠陥により、セキュリティが侵害される
- セキュリティの設定ミス:デフォルト設定が安全でないか、設定が不完全
- 脆弱で古くなったコンポーネント:未サポートまたは脆弱なソフトウェアコンポーネントの使用
- 識別と認証の失敗:認証メカニズムの不備により、認証情報の悪用が可能
- ソフトウェアとデータの整合性の不具合:ソフトウェア更新、依存関係、またはデータ整合性の検証が不十分
- セキュリティログとモニタリングの失敗:ロギングとモニタリングが不十分なため、侵害の検知と対応ができない
- サーバーサイドリクエストフォージェリ (SSRF):保護されていない内部サーバーにより、攻撃者による意図しない要求が可能
アプリケーションセキュリティの種類
| タイプ | 説明 |
|---|---|
| Webアプリケーションのセキュリティ | Webアプリケーションは、インターネット経由でアクセスできるソフトウェアです。通常、Webブラウザを介して実行およびアクセスされ、当然、安全でないネットワークに接続されることもあります。安全でないネットワークに接続した場合、アプリケーションはさまざまな脆弱性にさらされ、そのアプリケーションで機密性の高い顧客データを管理している企業は被害を受ける可能性があります。多くの組織は、攻撃に対する追加の保護レイヤーを提供するために、Webアプリケーションファイアウォール (WAF) を選択しています。 |
| モバイルアプリケーションのセキュリティ | スマートフォンはプライベートネットワークだけでなくインターネットに接続されているため、サイバー攻撃に対して脆弱なままです。多くの雇用主は、攻撃を防ぐために、従業員や利害関係者が会社支給のスマートフォンデバイスを使用する方法に制限を設けています。また、従業員が会社のネットワークにリモートでアクセスするための仮想プライベートネットワーク (VPN) も導入しています。 |
| APIセキュリティ | アプリケーションプログラミングインターフェース (API) は、最新のマイクロサービスアーキテクチャの基盤です。 機密データを保持しているため、侵害された場合、ビジネスオペレーションの中断につながる可能性があります。今日の企業は、APIの脆弱性を常に把握できるAPIセキュリティツールを探しています。 |
| クラウドネイティブアプリケーションセキュリティ | クラウドでは、通常、異なる環境間でリソースが共有されるため、別の課題が生じます。クラウドネイティブアプリケーションは、仮想マシン、コンテナ、およびサーバーレスプラットフォームを使用するマイクロサービスアーキテクチャで構築されています。組織は、クラウドを積極的に保護するためにクラウドセキュリティソリューションを採用することが不可欠です。 |
アプリケーションセキュリティツール
アプリケーションセキュリティツールには、異なる種類のアプリケーションに対するさまざまな種類のセキュリティテストが含まれています。セキュリティテストはその誕生から進化を遂げており、各セキュリティツールには適切な使用タイミングがあります。現代の企業は、アプリケーションを保護してそのデータを安全に保つ必要があります。
利用可能なアプリケーションセキュリティツールは、以下のとおりです。
- RASP(ランタイムアプリケーション自己保護):RASPは、内部データへのインサイトに基づいて、パーソナライズされたアプリケーション保護を提供します。アプリケーションのランタイム環境内に組み込まれ、内部の振る舞いを監視し、発生した攻撃をブロックすることによってリアルタイムの保護を提供します。
- SCA(ソフトウェア構成分析):SCAは、コード内のオープンソースソフトウェアを自動的に検出して、セキュリティ、コンプライアンス、品質を評価するプロセスです。アプリケーション内のオープンソースコンポーネントをスキャン、分析することで脆弱性を特定し、ライセンス要件を確実に順守します。これは、オープンソースソフトウェアに関連するリスクを防止するために非常に重要です。
- SAAT(静的アプリケーションセキュリティテスト):SASTは、ソースコードの脆弱性を分析するセキュリティテスト手法です。このテストはコードを実行せずに行われるので、開発者は早期に脆弱性を発見できます。この脆弱性には、セキュリティ侵害の原因となり得るコーディングエラーが含まれる可能性があります。こうしたエラーを早期に発見することで、展開後の修正を減らすことができます。
- DAST(動的アプリケーションセキュリティテスト):DASTは、本番環境でのアプリケーションの振る舞いに関するインサイトを提供します。実行中のアプリケーションが調査されるため、実世界の攻撃をシミュレーションして、静的な分析で見過ごされる可能性のあるランタイムの脆弱性を特定できます。
- IAST(対話型アプリケーションセキュリティテスト):IASTは、テスト中のコード分析に使用されます。実行中のアプリケーションをさらに詳細な可視性で分析することによって、SASTとDASTを組み合わせます。これにより、脆弱性の検知とソースの特定において、高い精度をもたらします。
- MAST(モバイルアプリケーションセキュリティテスト):MAST製品は、モバイルプラットフォーム上のアプリケーションの脆弱性を特定するように設計されています。このようなツールはモバイルプラットフォームに固有の脆弱性(安全でないデータストレージや不適切なセッション処理など)に対処します。これは、モバイルデバイスでユーザーデータを保護するために非常に重要です。
- CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム):CNAPPは、クラウドネイティブアプリケーションとインフラストラクチャを保護するプラットフォームであり、継続的インテグレーション/継続的デリバリー (CI/CD) パイプラインにセキュリティを組み込み、コード、コンテナイメージ、クラウド環境を保護します。
アプリケーションセキュリティの5つのベストプラクティス
Webアプリケーションのセキュリティのベストプラクティスには、セキュリティチーム、ツール、アプリケーションセキュリティコントロールを協調させて使用することが含まれます。企業にクラウドセキュリティ、Webアプリケーションセキュリティ、APIセキュリティのいずれが必要な場合でも、セキュリティのベストプラクティスは有用なガイドラインを提供します。
- コードとアプリケーションの脅威評価の実行:すべてのアセットのインベントリを作成し、最も機密性の高いアセットに注目します。さらに、適切な計画を立てることができるように、これらのアセットを標的にする可能性のある最も一般的な脅威と脆弱性を常に把握しておきます。
- シフトレフトアプローチの採用:シフトレフトアプローチの採用は、アプリケーション開発プロセス全体を通してセキュリティを組み込むために不可欠です。
- 修復作業の優先順位付け:脅威を特定した後、その脅威を解決するための修復作業に優先順位を付けます。脅威評価を実行する際に、他の基準の中でも特にCVSS評価を使用すると、作業の優先順位付けをより効果的に行うことができます。
- 頻繁なテストによるアプリケーションセキュリティの結果の測定:頻繁にテストを行い、組織にとって最も重要なメトリックを特定します。メトリックが合理的で理解しやすいものであることを確認し、それによってアプリケーションセキュリティプログラムが準拠しているかどうか、リスクが軽減されるかどうかを判断できるようにします。
- 特権の管理:最小特権の原則 (POLP) を採用して特権を管理および制限し、適切なチームだけがコードとアプリケーションにアクセスできるよう徹底します。
Expert Tip
アプリケーションを保護する方法
セキュリティツールとセキュリティチームが連携することにより、企業は複数の側面からアプリケーションを保護できます。設計から保守までのプロセス全体でセキュリティに取り組めば、企業は適切なモニタリングを行うことで、常に安全なアプリケーションを構築できるようになります。
3種類のアプリケーションセキュリティテスト
アプリケーションセキュリティテストには、ブラックボックスセキュリティテスト、ホワイトボックスセキュリティテスト、グレーボックスセキュリティテストという3つの主要なアプローチがあります。
- ブラックボックスセキュリティテストは、外部から内部に向かって行われます。これは、アプリケーションの機能に関する予備知識を持たない実際の攻撃者のアプローチをシミュレートします。この方法は個々のアプリケーションに関する知識を必要としないため、テクノロジーに依存しません。
- ホワイトボックスペネトレーションテストは、ネットワーク、システム、アプリケーションに関する完全な情報と認証情報をテスターに提供します。このテストは迅速であり、組織はテストのコストを節約できます。ホワイトボックステストは、複数のベクトルからアプリケーションを素早く攻撃するための優れたソリューションです。
- グレーボックスペネトレーションテストは他の方法の中間に位置するものであり、テスト前に共有される情報は限られています。多くの場合、テスターに特権認証情報を与えて、認証ユーザーのように見えるユーザーからの攻撃が引き起こす可能性のある潜在的な損害をテストすることが含まれます。
ペネトレーションテストの手法はそれぞれ、アプリケーションセキュリティにとって役に立つ可能性があります。
クラウドストライクがアプリケーションセキュリティにどのように役立つか
アプリケーションセキュリティは、企業を外部の脅威から守るために不可欠です。アプリケーションセキュリティツールは、セキュリティの専門家やアプリケーションセキュリティコントロールと連携して、アプリケーションのライフサイクル全体にわたってセキュリティを提供できます。複数の種類のツールとテスト方法を利用できるため、アプリケーションセキュリティが実現可能になります。
CrowdStrike Falcon®プラットフォームは、アプリケーションのセキュリティを維持するのに役立ちます。また、さまざまなホスト、クラウドインフラストラクチャ、ビジネスアプリケーションにわたって、潜在的なインサイダー脅威を可視化しながら、設定ミスをプロアクティブに監視し、修復します。