クラウドストライク2026年版グローバル脅威レポートエグゼクティブサマリー:AI時代に必読の脅威インテリジェンスレポート
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PAM(特権アクセス管理) とは

サイバー犯罪者は常に、組織へのエントリポイントを探しています。特権ユーザーの認証情報は、不正アクターにとっていわゆる「王国への鍵」となることから、特権ユーザーは格好の標的となります。特権アカウントへのアクセス権を獲得した攻撃者は、組織のIT環境を自由に行き来できるようになり、システムからシステムへと次々に移動して、重要な情報にアクセスして持ち出すことができるようになります。

事実、クラウドストライクの調査によると、データ侵害の80%は認証情報の盗難または侵害に起因しています。必然的に、PAM(特権アクセス管理) は組織のサイバーセキュリティにおいて極めて重要な要素となります。PAMの利点と、企業がPAMを効果的に実装する方法について詳しく見ていきましょう。

PAM(特権アクセス管理)の定義

PAM(特権アクセス管理)を使用した組織は、通常は特権アカウントのみが利用する最も重要なシステム、アプリケーション、およびデータへのアクセスを管理して保護できるようになります。特権アカウントは昇格された権限と機能を持ち、特権ユーザーはさまざまな管理タスクの実行や、機密情報へのアクセス、通常のユーザーにはできない変更を行うことができます。

PAMは、人、プロセス、テクノロジーを組み合わせて機能し、特権アカウントにアクセスできるユーザーおよび特権アカウントの使用方法を厳密に制御することで、組織が重要なアセットを保護できるようにします。その結果、組織は特権アカウントを管理するための堅牢なアプローチを提供して、許可された個人のみが特権アカウントを使用できるようにすることで、機密性の高いシステムやデータへの不正アクセスのリスクを最小限に抑えることができます。

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PAMを採用する利点

PAM(特権アクセス管理)は、ゼロトラストと多層防御戦略の実装に不可欠であり、組織の価値あるアセットの保護に役立ちます。PAMの採用は、次のような多くの利点を組織にもたらします。

  • 可視性の向上:PAMにより、ネットワーク、サーバー、アプリケーション、デバイスにアクセスしたユーザーをリアルタイムで把握できるため、誰が許可されていない領域にアクセスしようとしているかを継続的に監視できます。また、アラートを設定し、不審なアクティビティに関する通知を受け取ることもできます。まるで自分専用の探偵がいて、常に潜在的なインサイダー攻撃の一歩先を行くことができるようにサポートしているようなものです。
  • 生産性の向上:ほとんどのPAMソリューションは、自動化を活用して、従来は手動で処理されていたタスク(パスワードの生成やパスワードボールトの管理など)を実行します。PAMでこれらの機能を自動化することで、ITチームとセキュリティチームは貴重な時間とリソースを節約できるようになります。
  • コンプライアンスの向上:医療や金融などの規制の厳しい業界では、PAMを活用することで、アカウントアクセスの管理や最小特権アクセスの原則の導入に関するコンプライアンス要件に対応できます。PAM(特権アクセス管理)を使用することで、監査におけるリスクを軽減し、コンプライアンスをより簡単に証明できます。
  • マルウェアの拡散の抑制:マルウェア攻撃は、多くの場合、攻撃者が管理者プロファイルなどの特権アカウントを取得することで開始されます。特権アカウントが提供する広範なアクセスによって、悪意のあるペイロードがはるかに急速に拡散することが可能です。ユーザーのアクセスを業務上必要な場合のみに確実に制限し制御することで、攻撃の伝播能力を大幅に抑制できます。
  • 説明責任の強化:PAMでは、特権アクセス権を持つ特定の個人にアクションを帰属させることで説明責任を促進し、セキュリティインシデントの調査と対処を容易にします。

PAMのリスクと課題

PAMは、組織に広範なメリットをもたらす重要なセキュリティ慣行ですが、次のような課題や潜在的なリスクを伴う可能性があります。

  • 複雑さ:一部のPAMソリューションは展開と管理が複雑なため、慎重に計画して既存のシステムと統合する必要があります。ソリューションを探すときは、製品の使いやすさと統合の容易さを評価して、チームのリソースに過度の負担をかけないようにする必要があります。
  • ユーザーの抵抗:特権アクセス権を持つユーザーは、ワークフローの変更やセキュリティ対策の追加を理由に、PAMソリューションの実装に抵抗する可能性があります。PAMプラクティスにどのような価値があり、会社のセキュリティポスチャの改善にいかに役立つかを特権ユーザーに伝えることは、それらのユーザーが必要なプロセス変更に参画して支持するようになる一助となります。
  • 設定ミス:PAMシステムが不適切に設定されていると、重要なプロセスの中断や不注意による権限昇格が発生する可能性があります。設定ミスは、適切な設定に対する誤解や設定の競合が原因で発生する可能性があるため、PAMソリューションの管理者の数を制限することをお勧めします。
  • 単一障害点:PAMシステム自体の侵害は、深刻な結果を招きます。攻撃者にすべての特権アカウントへのアクセスを許す可能性があります。そのため、PAMベンダーのセキュリティ慣行を評価して、潜在的なリスクと脆弱性を最小限に抑えることが重要です。
  • 運用上のオーバーヘッド:PAMでは、正当なユーザーの特権アカウントに対するアクセス権の管理と付与を行う際に、追加の管理オーバーヘッドが発生する可能性があります。

PAMの仕組み

PAM(特権アクセス管理)は、特権アカウントのアクセスを制限および監視するセキュリティ手順と制御を適用することで機能します。安全な認証、承認、および監査の技術で構成されており、許可された個人のみが機密性の高いシステムやデータにアクセスできるようにします。また、PAMテクノロジーはセッションのモニタリングと記録をサポートしているため、ITチームとセキュリティチームは特権ユーザーの振る舞いをモニタリングして分析できます。

PAMは最小特権の原則に基づいているため、ユーザーには職務に必要不可欠なアクセスレベルのみが付与されます。この原則は、サイバーセキュリティのベストプラクティスとして広く認識されており、価値のあるデータやリソースへの特権アクセスを保護するための重要な手段として機能します。

特権とは?

特権とは、情報システム内のユーザー、アプリケーション、またはプロセスに付与される昇格された権限と機能を指します。これらの権限があれば、ユーザーまたはプロセスは、ファイル、ディレクトリ、データベース、ネットワーク設定、管理設定などの重要なリソースにアクセスして特定のアクションを実行できます。

特権の例としては、読み取り、書き込み、実行、変更、削除、作成、管理者権限などがあります。特権は、システムの運用および管理タスクに不可欠ですが、適切に管理しないとセキュリティ上のリスクが生じることがあります。

特権アカウントとは?

特権アカウントは、通常のユーザーアカウントの権限より高い昇格された権限を持つユーザーアカウントまたはサービスアカウントです。これらのアカウントには管理者権限があり、ソフトウェアのインストール、システム設定の変更、機密データへのアクセス、ユーザーアカウントの管理などの重要なアクションを実行できます。

特権アカウントを侵害することで、組織のシステムやデータを広範囲に制御できるため、攻撃者の標的になることがよくあります。そのため、特権アカウントの制御と保護は、PAMの重要な要素となっています。特権アカウントの例として、以下が挙げられます。

  • 管理者権限:管理者権限を持つユーザーには、システム設定、ソフトウェアインストール、およびユーザーアカウントを設定、管理、変更する権限があります。

  • ルートアクセス:UNIXライクなオペレーティングシステムでは、「root」はすべてのシステムリソースとファイルに無制限にアクセスできるスーパーユーザーアカウントです。

  • データベース管理者 (DBA) アクセス:DBAは、データベース構造とデータに対する作成、変更、削除など、データベースの管理と制御を行います。

  • アプリケーションレベルの特権:一部のアプリケーションでは、特定のタスク(機密データへのアクセスやシステムレベルの操作の実行など)を実行するためにより高い特権が必要です。

  • ネットワーク設定特権:これらの特権を持つユーザーは、ネットワーク設定、ルーター、ファイアウォール、およびその他のネットワーク関連の設定を構成できます。

  • 暗号化キー管理:これらのユーザーは、組織の機密データを保護する暗号化キーを管理および制御できます。

  • 物理アクセス制御:特権は物理アクセスにも適用されます。特定の個人が保護されたエリア(データセンター施設など)に立ち入ったり、ハードウェアコンポーネントを操作したりできるようになります。

  • 財務システムアクセス:通常、財務および会計部門の従業員であるユーザーは、財務ソフトウェアとシステムにアクセスしてトランザクションを処理し、職務を遂行できます。

  • クラウドインフラストラクチャ管理:クラウド管理者には、クラウド環境内のクラウドリソース、仮想マシン、ストレージ、およびネットワークコンポーネントを管理する特権があります。

  • 開発環境と本番環境:開発者には、ソフトウェアを作成、テスト、展開できるように、開発環境と本番環境で異なるレベルのアクセス権が与えられる場合があります。

特権認証情報とは?

特権認証情報は、特権アカウントに関連付けられた認証情報です。これには、ユーザー名、パスワード、APIキー、暗号化キー、証明書、および特権アカウントにアクセスして操作するために必要なその他の認証情報が含まれます。

特権認証情報を適切に管理し保護することは、不正アクセスを防止し、承認されたスタッフのみが必要な時に使用できるようにするうえで極めて重要です。

特権の一般的な脅威ベクトル

攻撃者は、さまざまな方法を用いて特権アカウントを悪用し、特権を昇格させて、機密性の高いシステムやデータに不正にアクセスします。特権の一般的な脅威ベクトルには、次のようなものがあります。

脅威ベクトル説明
パスワード攻撃ブルートフォース攻撃、パスワード推測、認証情報の盗難により特権アカウントへのアクセスを獲得します。
権限昇格脆弱性や設定ミスを悪用して、特権を通常のユーザーから特権アカウントに昇格させます。
認証情報の窃取フィッシング、ソーシャルエンジニアリング、マルウェアを利用して特権認証情報を窃取します。
悪意あるインサイダー正当なアクセス権を持つ従業員または請負業者が、個人的な利益または危害を加えることを目的として、特権を意図的に悪用します。
なりすまし攻撃者は、さまざまなソーシャルエンジニアリング手法を駆使して、権限のある担当者になりすまし、特権アカウントやシステムへのアクセスを獲得します。
特権クリープ時間の経過とともにユーザーの役割が変わったり、不要な権限の削除を怠ったりして、ユーザーが必要以上の特権を蓄積すると、組織の攻撃対象領域を増加させることになります。
不正アクセスシステムやデバイスに物理的にアクセスできる攻撃者は、特権アカウントを直接操作できます。

PAMの実装とベストプラクティス

特権のセキュリティポリシーとその適用が成熟し包括的であればあるほど、コンプライアンスの義務を満たしながら、インサイダーや外部の脅威を防御して対応する能力が向上します。以下に、PAMの最も重要なベストプラクティスをいくつかご紹介します。

  • 包括的な評価の実施:出発点として、組織全体の特権アカウントと認証情報を徹底的に評価して、誰が何にアクセスできるかを特定し、対処する必要がある潜在的なリスクを洗い出すことが重要です。

  • 最小特権の原則の実装:最小特権の原則に従って、各ユーザーには、職務の実行に必要な最小レベルのアクセス権または権限を与えます。

  • 安全なボールトの採用:安全なボールトを利用して特権認証情報を保存して管理し、暗号化して不正アクセスを防止します。

  • ジャストインタイム (JIT) 特権プラクティスの採用JIT特権プロセスを実装して、ユーザーに正当な必要性がある場合に、限られた期間だけ特権アカウントへの一時アクセスを付与します。

  • MFA(多要素認証)の使用:すべての特権アカウントにMFAを適用して、追加のセキュリティレイヤーを設けます。

  • セッションのモニタリングと記録の実施:特権アカウントセッションに不審なアクティビティがないか定期的にモニタリングし、監査目的で記録します。

  • RBAC(ロールベースのアクセス制御) の使用ロールベースのアクセス制御を実装して、組織内の個々のユーザーのロールに基づいてネットワークアクセスを制限します。

  • 定期的なレビューと監査の実施:特権アクセスを定期的にレビューし、監査を実施してコンプライアンスを確保し、潜在的なセキュリティの問題を特定します。

  • ユーザートレーニングの提供:PAMの重要性、ベストプラクティスについて、またフィッシングEメールなどの潜在的なセキュリティ脅威を認識して報告する方法について、従業員に教育を実施します。

  • 継続的な改善:PAMは継続的なプロセスであり、組織のニーズとセキュリティ環境の進化に応じて定期的な更新、評価、調整が必要になるため、PAMポリシーとテクノロジーを継続的に確認して更新する必要があります。

PAMと他のタイプの特権管理の比較

PAMは、特権アクセスの管理と保護のさまざまな側面を網羅する包括的な戦略ですが、PAMにはサブセットとして、特権管理の特定の側面に焦点を当てた、特権アイデンティティ管理 (PIM)、特権ユーザー管理 (PUM)、特権セッション管理 (PSM) があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

特権アイデンティティ管理

PIMはPAMのサブセットで、組織内の特権アイデンティティ(昇格された権限を持つユーザーアカウントなど)の管理に重点を置いています。PIMは、特権アイデンティティを一元的に把握し、適切なアクセス制御を適用して、過剰な特権によるリスクの軽減に役立ちます。

特権ユーザー管理

PUMは、PAMと同じ意味で使用されることがあるもう1つの用語です。PUMは、特権ユーザーのアクティビティの管理と保護、例えば特権ユーザーのアクションのモニタリング、ポリシーの適用、コンプライアンスの確保などに重点を置いています。これにより、組織は説明責任を維持し、インサイダー脅威を検知して、セキュリティポリシーを適切に遵守することができます。

一方、PAMには、より広範なアクティビティが含まれます。この例としては、特権ユーザーの管理、特権アカウントへのアクセスの制御、認証情報の保護、特権の悪用から保護するためのさまざまなセキュリティ対策の実装などが挙げられます。

特権セッション管理

PSMはPAMのサブセットで、特権セッションの管理とモニタリングに重点を置いています。PSMは、リモートアクセスを厳密に制御および監査することでセキュリティを強化し、不正アクセスのリスクを軽減します。

クラウドストライクによる特権アクセスの保護

攻撃者にとって、盗み出した認証情報は迅速なアクセスと制御を可能にするものであり、これは即座に侵害への入り口となります。

クラウドストライクは、比類のない可視性、検知、およびクロスドメイン相関機能を提供し、あらゆるタイプのアイデンティティベースの攻撃から企業を保護し、データ侵害のリスクを軽減します。

CrowdStrike Falcon® Next-Gen Identity Securityを使用することで、Microsoft AD(Active Directory)とEntra ID全体におけるユーザーアイデンティティのアクセス特権の範囲と影響を詳細に可視化できます。Falcon Identity Threat Protectionを使用すれば、すべてのアカウントとアクティビティに関する詳細かつ継続的なインサイトを得て、アイデンティティストア全体のセキュリティギャップを明確にし、ITチームとセキュリティチームがアイデンティティとそれに関連するリスクをより適切に評価できるよう強化できます。

PAM(特権アクセス管理)に関するFAQ

Q:サイバーセキュリティにおけるPAMとは何の略ですか?  

A:PAMは「特権アクセス管理」の略です。

Q:PAM(特権アクセス管理)とは何ですか? 

A:PAM(特権アクセス管理)を導入すると、通常は特権アカウントのみが利用する最も重要なシステム、アプリケーション、およびデータへのアクセスを管理して保護できるようになります。特権アカウントは昇格された権限と機能を持ち、特権ユーザーはさまざまな管理タスクの実行や、機密情報へのアクセス、通常のユーザーにはできない変更を行うことができます。

Q:IAMとPAMの違いは何ですか? 

A:IAM(アイデンティティおよびアクセス管理)は組織全体でのユーザーの識別と承認に重点を置いていますが、PAM(特権アクセス管理)は特に特権アカウントとシステムに焦点を当てたIAMの一部と見なされています。 

Q:MFAとPAMの違いは何ですか? 

A:MFAはシステムにアクセスしようとする正当なユーザーを認証しますが、PAMは個々のユーザーに対するアクセス権限とアクセス権の管理に重点を置いています。 

ヴェヌ・シャストリはIDおよびサイバーセキュリティ製品のマーケティング担当として経験を積み、CrowdStrikeで統合エンドポイントおよびID保護の製品マーケティングでディレクターを務めています。OktaおよびOracleで10年以上にわたりID、製品マーケティングおよび管理機能を推進した経験があり、パスワードレス認証に関する米国特許を取得しています。ID関連業務の経験を積む前には、企業向けにソーシャルソフトウェアを立ち上げる製品管理を共同設立して経営していました。ノースカロライナ州ローリーの出身で、サンタクララ大学でMBAを取得し、MITスローンでエグゼクティブ認定を取得しています。